何の変哲もない。

読んだ本、見た映画、日々感じたことを

「カキフライが無いなら来なかった」

 

ピースの又吉直樹。僕は以前から彼が好きで、テレビに出ているとつい観てしまう存在だ。暗い雰囲気を醸し出しながらも、どこか惹き付けられてしまう。どうしてなのかというと、テレビの発言を聞くと、自分の中のモヤモヤや言葉にできない感情を代弁してくれているかのように感じるからだ。自分の中で、心に残っている薄らかかった霧を晴らしてくれて、「こういうことだったのか!」と新しい発見ができる。それに加えて共感もできるので、親近感を覚える。

 

ある座談会で又吉はこう語っている。

本をなんで読むんかって言われると(中略)共感というか、普段生きている中で、なんか「これ、こうかな?」で漠然と言葉にはできていないけど、なんとなく感じていることが小説の中でビシっと決まったきれいな言葉で整理されて出てきたときに、「ああ、そうや、俺が言いたかったことはこれや!」とか、「なんでここに自分のそう感じたことが、この人は分かってんねやろ!」というのが、読書の最初の面白さですね。

ピース又吉直樹氏VS現役大学生 読書推進座談会 |全国大学生活協同組合連合会(全国大学生協連)


 「まさに!」である。

 僕が彼に抱いている感情を本に置き換えているかのようだ。

 

そんな彼と放送作家のせきしろが共著で出した本が「カキフライが無いなら来なかった」

五七五の形式を破り自由な韻律で詠む自由律俳句を、妄想文学の鬼才せきしろと、お笑いの奇才「ピース」又吉が多数放出。「雨と冷蔵庫の音に挟まれ寝る」(せきしろ)、「転んだ彼女を見て少し嫌いになる」(又吉直樹)など、センチメンタル過剰で自意識異常な世界が広がる。五百以上の句と散文、著者二人の撮影写真から構成。

 本書は全287ページに、自由律俳句469句と散文27篇で構成されている。 

 中で気に入ったものを紹介したい。

 

・ロフトは絶対条件と行ってた頃

・あの青信号には間に合わないゆっくり行こう

・独りだから静電気を無視する

・いつか登ろうと言ったきりの高尾山

全て、共感できる点で選んだ。

 

一つ目はまさにそんな状況で、ロフトがあるから今の部屋にしたのだが何ヶ月も登っていない。住む前はあんなに拘って楽しみにしていたのに..。

 

四つ目もそうで 前から登りたいと思っていたのに未だ登らず。登りやすさが気持ちにも影響しているのだろうか。いつでも登れるでしょ!ってね。

 

 

そして自分でも考えてみた。

・看板持っているお兄さん何を考えているのか。

・赤ちゃんとやたらと目が合う。

・トイレットペーパーを買い持って帰るの恥ずかしい。

・泣き顔の自分を鏡で見て泣き止む。

 

看板持っているバイトの方は、ずっとあそこに立っているわけで、一体何を考えているのかといつも思ってしまう。 

 

赤ちゃんと目が合うのは怖い。あんな純粋な目でじっと見られたら、こっちが何もしていないのに罪悪感を感じてしまう。 

 

自分で作ってみるのも面白い。

 

本書は文字が少ないからぺらぺらとページが進むんだけど、進むごとにモヤモヤが晴れて行くように感じる。その一方で「こんな見方ができるのか!」と目の付け所にも感心する。日常も違った角度で見たら楽しくなるかもしれない。